WCT News
ツアーの新しい風
 

デーン・レイノルズとジョーディ・スミス。このふたりの新人ワールドツアー選手は、クオリファイする前から将来を期待されていた若手の筆頭だったわけだけど、その期待にそぐわず、やはり今シーズンのツアーの雰囲気を変えていくことになりそうだ。

まだラウンド2を終わったばかりだし、ワールドツアーというのは実力だけで勝てる世界ではないので、いきなりトップランク界隈を走りまくる、みたいな事はないだろうと思うが、そのサーフィンを見ていると、この先このツアーでうまくやっていくには、こういうサーフィンが必要不可欠なサーフィンになっていくのだろうな、という感じが強くする。

もちろんその、今の最先端のサーフィンをツアーに持ち込んだのはケリー・スレーターで、テクニックの完成度はケリーに分があるが、今シーズンフル参戦はしない意向なので、デーン、ジョーディの繰り広げるサーフィンに注目が集まりそうだ。

基本のしっかりした、レールを深く入れたカーヴィングをベースに、エアー、リバース、などのトリッキーなテクニックもきちんと完結する。こういったエアーショー風のマニューバーが普通に1本のライディングの中に組み込まれている。フィニッシュ技でなく、それがファーストマニューバーだったり、途中のマニューバーだったり、その組み込む場所も大きく今までと違う。そして、そのつなぎに無理がない。

あくまでリップアクションのひとつとしてのエアーであり、360であり、みたいなことで、着地すればすぐさま次のレールが入り、ボトムターンから次のアクションに無理なく、スムーズにつながるし、失速もしない。エアーのスタイルも多彩なら、それにつながるアクションも基本のしっかりしたドライブサーフィン。パワーとトリックの自然な融合、それが今の世界の先端のサーフィンだ。

毎年WQSから鳴り物入りで新人選手が入ってくるわけだけど、このふたりはちょっと格が違うように思う。新人が入ってきて、ツアーのサーフィンの方向が変わったのは90年代初頭のケリーを中心にするニュースクールといわれた世代が記憶に新しい。そこでサーフィンのスタンダードががらりと変わった。

その後、その次の世代のプリスクール、そしてその後のパーコやファニングのオーストラリア若手の台頭など、シーンは変わり続けているのだが、ニュースクール以降、サーフィンそのものにおいての目だった革新はなく、ニュースクールの発展系にとどまる。

そして数年前に再び革新を起こしたのは、またもやケリーだったわけで、今までとまったく違う波に対するアプローチとかレールワークとかは、この15年、結局ケリーひとりがやってきたことのように思う。

今回のこの新人ふたりも革新的な新しさというよりは、ケリーの第2次改革後のサーフィンスタイルの発展系なわけだけど、ケリーの改革のヒントになっているのがこの若いサーファーたちの波の使い方だ。以前ケリーがデーン・レイノルズらの若手のサーフィンを見ていると、波の使い方やセクションの選び方の新しさに刺激を受ける、と話していたことがあって、ケリーは彼らに相当ヒントをもらったことを認めている。

意外な場所で意外なことをする。一言でいえばそういうサーフィンなのだけど、それが1本の波の中で違和感なく、流れの中にスムーズに入ってしまう。技と技のつなぎが上手い。見るべきは、飛びや回りそのものではなく、それらの間のつなぎの動きだ。そこがいかにスムーズで失速しないか。組み立ての妙。このふたりは若いのにそういった見所がある。今、勝っても負けても、どっちにしても彼らがこの先のシーンをリードしていくサーファーになることは間違いない。デーンはアメリカ人だが、ジョーディは南アフリカ。

オーストラリアとアメリカに牛耳られていたシーンにブラジルが割り込み、シーンをリードするには至らなかったが、もしジョーディがこのまま行くなら、ショーン・トムソンやポッツ以来、久しぶりの南アフリカからの世界レベルで影響力のあるサーファーの登場となる。