ケリー。ホント強いというか、技術だけでなく精神力もタクティクスも、すべての面で強い。40分ファイナルが始まって前半にタジが9.00、9.63と揃え、ノーミスのアグレッシヴなサーフィンを見せれば、おそらくギャラリーの99.9%は、あ、今日はタジの日なんだ。と思ったはずだ。40分ヒートのスタートから残り1分まで完璧タジペース。ケリーファンはすでに神頼みモード。タジだって自分が勝ったと思ってた。そのぐらいファイナルのタジには勢いがあった。
それもそのはず、ケリーは前半で18.64のコンビネーションに追い込まれている。ただ、ちょっとタジ応援団にとって嫌だったのは、まだ残り時間が22分あったことと、相手がいつだって9点ライドをいとも簡単にポケットから出してくるケリーだったこと。
で、プライオリティを持ったケリーが次のセットで爆発、9.70出してチャンスを作る。この9.70のライディングは今回初めて火がついた感じの、ケリー全開ターンの連発だったな。普通ならあきらめてすごい飛びをメイクしようとしたりで自爆の話になりがちだけど、冷静に、ポイントの出る全開してた。
で、この1本が、タジのハイエストの9.63より上だったというのが、残り時間16分のあの時点ではすごくケリーにとってチャンス到来な雰囲気だったと思う。ポジティブな感じというか……。マンオンマンの試合ではそのヒートのハイエストスコアを持っているというのはすごく有利だ。相手のハイスコアより上なら、自分のバックアップスコアは相手のバックアップスコアより低くてよくなるから。
今日のファイナルの場合、ケリーが9.70を出した時点でケリーに必要なのは8.93になった。これ、コンビネーションの18.64からしたら、ヨシいける、って気になるでしょ、たとえ限りなく9点に近くても、8点台だし。もうワンチャンスになっちゃったわけよ。もちろん最後になったらインターフェア覚悟でセットに突っ込むわけじゃん、どうせ負けだから。
でもケリーいわく、最初のタジの9点は、自分でセットの2本目がいいってわかってて乗らせちゃったミスで、最後の最後にタジが波をくれたから、おあいこになったって話してたけど、結局あのコンビネーションに追い詰められたのを、自分のミスと判断しているのはケリーだけだったかな、と思う。みんな普通に今日はタジの日なんじゃん、って思ってたわけだから。その辺の分析というか、自分のミスの見つけ方、すごすぎる。
今日のタジの出来は完璧だったし、ケリーに乗らせた時点ではあの波は、セットの2本目だったけど、見た目は、う†ん、ショルダーなくなっちゃうほうの波かな、って感じだったし……。
タジは自分のサーフィンをやるだけやって、出すだけ出して、負けたんだけど、すでに誰も今シーズンもタイトルを真剣には追ってないから、優勝を目指してたわけで、それで絶対に勝ったと思ってたのに、最後に負けたあたりにフラストレーションを感じてる。
やっぱね、あの負けず嫌いのオジサンをコンビネーションにまで追い詰めちゃダメなのよ。絶対コンビネーションだけは抜けようとして9点台狙ってくるから。で、9点出しちゃうから。
せいぜい7点台ぐらいで、気づかれないようにうまく引っ張らないと……。
日本のお父さんサーファー、頑張ってくださいね。36歳、成せばなる、です。
WCT39勝目、今シーズン5勝目。9度目のタイトル確定。今シーズンケリーに勝ったWCT選手はいまだにティアゴ・ピレスだけ。そんなことも時にはあるんだな。